気付いてよ

「うん。朋にとってはね。」

私は呆気にとられている朋を見つめながら続けた。

「でも、私は違うんだ。今日はさ、朋に告白しに来たんだよ。答えは今ので分かってるから…朋にとって私は一生幼馴染、そうでしょ?」

朋に恋愛相談を持ちかけられる度、上手くなった作り笑顔を貼り付ける。

「な、なぁ。俺たちこれからもちゃんと幼馴染だよな?」

焦ったように言ってくる朋。

こんな私とまだ幼馴染でいてくれるんだ。
朋は本当に優しいよね。
そんなところも大好きだよ。

でも、今はその優しさが痛くてしょうがない。

「いつかは戻れるかもしれないけど…ごめん。今すぐは…無理かな。でも、弥生さんの前とか、家族でどっか行くって時は、ちゃんとするから安心して?」

「なんだよ…それ…!なんなんだよそれ!」

今にも掴みかかってきそうな朋に私は思った。

本当に、私は朋に大事にされているんだな、と。
もちろん、それは幼馴染としてだけれど。

「私さ、朋に嫌われたくなくて今まで隠してきたけど、本当の私はヤキモチも焼くし、束縛もしたいって思う、朋の一番嫌いなタイプなんだよ。最近は泣くのも朋の前では我慢してるしね。」

私は昔から泣き虫だった。
でも、朋が中学に入って、今の様になりだしてからはうざがられるのが嫌で、泣くのを辞めた。

「…?!」

そんなの知らなかった、と今にも聞こえてきそうな顔だった。



< 74 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop