気付いてよ
「そうだよね。でも…でもさ、私は違うって言ったらどうする?」
「え…?」
「私は、朋のことが幼馴染としてじゃなく好きだって言ったらどうする?」
少しも笑っていない私に、朋の顔からも笑顔は消えていた。
「な、何言ってんだよ。俺たちは幼馴染だろ?」
そんなのあり得ない、朋の顔にはそう書いてあるみたいだった。
ここで、嘘に決まってるといつもの調子で言ってしまえたら、きっと元に戻れる。
でも、もう決めたから。
それにこのほんの何分かで、絶対に私の想いが報われないことが、今度こそ確定した。
今まで、本人の口から聴かなければ可能性はあるかもしれないと心のどこかで思っていた。
私の夢の様な考えもきっぱりと否定された。
本当に儚い考えだったと、思い知らされもした。
にんべんに夢で、儚と書く。
私の夢は朋という人によって、本当に儚く散ってしまった。