気付いてよ

物心ついたときから当たり前みたいにいつも隣にいた幼馴染。

泣き虫でちょっとのことですぐに泣いていた。
そんな奏が泣かなくなったことなんて、気にも留めなかった。

さっきまで俺の隣にいた奏はいない。

久しぶりに見た幼馴染の泣き顔は昔のような幼さは少しもなくて、まるで俺の知らない誰かみたいだった。

そのまま公園から姿を消した幼馴染の姿が頭から離れない。

追いかけようと思った。
でも、俺にその気がない以上、それはしちゃいけない。

隣にいるのが当たり前、今だってこれからだってずっとこの関係は続いていくって、俺の隣にいるのは奏だって、そう思っていた。

奏を恋愛対象として考えたことは無かったけど、幼馴染でなくなるっていう未来も考えたことは無かった。

ただ、ひとつ言えることは、俺は奏のことを誰よりも分かっているつもりで、実際は何ひとつ分かっていなかったってこと。

それともう一つ。



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