気付いてよ
自分の下駄箱に手を掛けるようとしたとき横から声を掛けられた。
「あ、あの…幸村くん。少し時間いいかな?」
誰だっけ?
放課後に時間があるかと聞かれたら、嫌でもこの後の展開は読める。
でも、今日はその告白を聞くことさえ面倒に感じた。
「ごめんね。今日は大事な用事があって、早く帰らなくちゃいけないんだ。また今度。」
バイバイ、そう言って名前も顔すらも知らないその子の申し出を断る。
「おい、いーのかよ?ってゆか、来る者拒まずの朋哉くんが珍しいな。」
珍しいどころじゃない。
告白を断るのはこれが初めてで、断った俺が、正直一番驚いていた。