気付いてよ
所詮私の足で走ったくらいじゃそう遠くまでは来てなくて。
落ち着いて周りを見渡せば、知っている風景だった。
場所を説明すると、すぐに真那がそこまで自転車で迎えに来てくれた。
泣きじゃくってグシャグシャの私の顔を文句も言わずにタオルで拭いてくれた。
そして、落ち着くまで抱きしめてくれた。
「辛かったんだね。」
そう言ってくれた真那はきっと大方私が泣いてる内容については見当がついている様だった。
私はそのまま真那の家にお邪魔させてもらった。
「お邪魔します。」
「あらあら奏ちゃんじゃない!久しぶりね!さあさ、上がって上がって。」
真那のお母さんは快く歓迎してくれて、なんだかさっきまでの喪失感とかが少し和らいだ気がした。
「はい、紅茶でいいよね?」
「まなぁ。ホントにありがとう。」
「いーのいーの。で、どうしたの?もうこの際だから話しちゃいなさい!」
「うん。」
「あ、その前に奏ママに電話しなきゃ!もちろん今日は泊まってくよね?」
「え、いーの?」
「いーも何もさっきうちに来る前に、もううちのお母さんには言ってあるもん。」