花には水を




「へえ、言うね」


クスっと笑う声。



瑞穂のこんな声、聞いたことない。



怒ってるの?


悲しんでる?



「あんなにいっぱい泣かせたくせに。どんだけ、灯が泣いたか知らないからだろ?」




「それは…」




「俺は、何回だって灯を慰めてやる。悲しんでるんなら、ずっと側にいてやる。」




土の擦れる音が聞こえた。



瑞穂は連に近づくと、耳元で何かを呟いた。



何を言っているのか聞き取れない。




言葉を紡ぐのを止めた瑞穂の口角が微かに上がった。



「じゃあ、俺は部活に戻る。…灯を助けてくれてありがとう」



連から離れると瑞穂は連にそう笑いかけた。



連は無言のまま、何も喋ろうとしない。




「瑞穂来てくれてありがとう。」



口に出した私に優しそうに目を細めて笑うと彼は背を向けてまたグラウンドへと走り出した。






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