ツンデレ美女の恋愛事情~新・素敵すぎる上司~
「脚? 脚だけなのか?」

「そうですよ」

正確には腿だけど。

「嘘だろ? 君は脚を触られたぐらいで、あんなに泣きわめいたのか?」

「そうですよ。いけませんか?」

泣きわめいたのは、記憶にないんだけど。

「参ったなあ。俺はてっきりもっと酷い事をされたと思ってたよ」

「私にとっては十分に酷い事です」

「まあ、そうだよな? そうかあ、だから鈴木さんは逆ギレしたのか…」

「私も大人げなかったとは思ってます」

「君って、意外と純情なんだな?」

「意外って、どういう意味なんですか?」

「いや、それは失言だったな。ごめん。お、飯が来たぞ」

ウェイターさんが置いていった焼きたてのステーキにナイフを入れながら、「とにかくよかった」と言って阿部さんはニコッと微笑んだ。

その笑顔に、私の心臓が再びドキンと跳ねた。
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