夜中散歩
「客を金としか思ってない女だなコイツは」
随分酔っているのか、その人は叫ぶ。
「お前も頭下げてばっかじゃなくてなんか言えよ!ナンバーワンがこんなんでつまんねー店だな」

すると、こう言った。
「次は誰だよ、この店の二番目!」
その言葉で、客とボーイ、もちろん女の子たちの視線が私に向けられた。
意を決して私が歩み寄る。
「私です」
「こりゃまた頭悪そうな女だな」
ボーイが客を連れて行こうとするも、その腕を振り払う客。
「お前も客のこと金だと思ってんだろ?そうだろ?」
何も言わない私。

「なんか言ってみたらどうなんだよ、あ?」
酒を飲むと性格が変わるんだろう。
こういうタイプが一番質悪いんだよなぁ。
「申し訳ありませんが、お帰り願えますか?他のお客様もいらっしゃいますし」
言いかけた途中で「すいませんお客様」と奥から店長が出てきた。
「すいませんお客様、他のお客様のご迷惑となりますので」
それだけ言うと、他のボーイ数名と共にその客を連れて行った。

< 116 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop