キミがいた証
「優斗…っ!!」
「真白っ、やめろ…!」
お兄ちゃんが私の手を掴んだ。
「…っ」
一瞬、時が止まったように、静けさに包まれた。
また、それが怖かった。
とてつもなく、恐ろしかったんだ…
「優斗…」
優斗の名前をもう一度呼んだ時、私は意識を手放した。
これは悪い夢だよ、って…
目が覚めた時、きっと誰かがそう言ってくれる―…
「真っ白…!」
私を呼ぶ、お兄ちゃんの声は、已に私には聞こえなかった。