ひまわり


白い雲は気持ちよさそうに流れていく

「空‥きれいだな‥」
ぽつり、呟いた

「知ってるか?雲の上にはな、妖精がいるんだ」

突然うしろから声がした

びっくりして振り返るとそこには細くてきれいな黒髪をした男の子が立っていた

「あ、俺、九条将人。多分あんたの隣の席」

今日隣はずっと空席だったので
てっきり休みだと思っていた

「そうなんだ‥よろしくね、九条くん!あたしは星川結衣」

「結衣、か‥いい名前だな」

男の子の下の名前呼ばれるなんて、慧くらいだったのでドキッとした

「あ、ありがと‥てか雲の上には妖精がいるって言ったよね?どんな妖精さんがいるの?」

「‥今度、教えてやるよ!‥じゃあ、また明日な、結衣」

そう言って教室を出ていった
九条くんは一瞬、
たった一瞬だけど哀しい瞳をした
理由を知りたかったけど
聞く勇気なんてないあたしは

「うん、また明日」

そう言って手を振った



人見知りのあたしが
笑顔で初対面の人と
しかも男の子と話せていた‥
自分自身に驚きながらも
透き通る青空を見つめ続けた


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