ひまわり
慧がいつからいたかは
わからないかったけど
気が付くと隣に慧が立っていた
「結衣の席いいな、いつでも空が見れるな」
呟くように慧が言った
「うん‥」
とだけ返事をした
あたしの頭は九条くんの哀しい瞳のことでいっぱいだった
それから慧と何を話したか
全く覚えてない
気がついたら家の前にいて
ばいばいをしようと慧をみて驚いた‥
「結衣、何かあったのか」
いつもの慧にはない、
深刻そうな顔をしていたから。
びっくりしたあたしから出てきた言葉は
「え、なんで‥?」
「いつもへらへら笑ってるくせに、今日の帰りは話し掛けても上の空だし、口数少ないし‥笑わないし…
「なーんだ!何もないよ〜ただちょっと隣の子のこと考えてたの」
慧の笑顔が無性に見たくて
とびきりの笑顔で言った
「ならいいんだ、何かあったら俺に言えよ?」
「うんっ、ありがと」
じゃあばいばい‥と
あたしは小さく手を振って
門をくぐった
そのときあたしは
気付いてしまった‥
慧の瞳が笑っていないことに