彼女の日記〜きみを忘れない〜


「石原さん!!」


無人駅の待合室に、幸恵の他に誰もいない。


「大沢さん・・・本当に、来てくれたんですね。」


幸恵の頬は、涙で濡れている。
ベージュのコートに包まれた体は、寒さと悲しみで震えていた。


「立てるか?」


幸恵は頷くと、和樹に体を支えられ、待合室を出た。



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