嫌いな日【短編】


アパートに着くと私は棚からアルバムを引っ張り出した。


もう何年も開いてないアルバム。


アルバムの中の私は和樹と一緒に無邪気に笑ってた。



「……クッ‥」



アルバムの写真を見てると涙が出てきた。




…今日、真由がいてくれて良かった。


真由がいなくても私はきっと1人で映画をあのショッピングモールに行ってた。


そして


和樹からの電話であの喫煙所で泣いてた。


今日、帰り着くまで泣かなかったのは…


真由がいたから。


後輩の前で泣けないから。


前に真由が


『先輩が泣いてるところなんて想像つかない』


そう言ってたから泣かなかった。



ねぇ和樹


私が後輩達や職場の人に何て言われてるか知ってる…?



いつも冷静でクール。
仕事には厳しい。
絶対に泣いたりしない強い人。



そう言われてるんだよ…



なのに和樹のことになると私の涙腺は弱くなるんだよ…


それは、たぶん…和樹のことが好きだからなんだよ…


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