Kiss★恐怖症
校門の右と左を指差す。


「家、どっち?」


そうか。


一緒に帰るんだったら、家の方向一緒なはず。


「私は、右だけど」


「え…俺、左」


「「…」」


…え。


うん、まさかの逆方向。


まさかの事態…でもないとはいえ、言葉を失う。


「…右ってことは…電車?」


「うん。左ってことは…歩き?」


「うん…」


右の方向には、この学校の最寄り駅がある。


右に帰る人はたいてい電車通学。


左に帰る人は、家が学校から徒歩圏内の人。


だから結局、ここで別れるのがオチっぽい。


まあ、付きまとわれる心配がなくなるっちゃなくなるか。


「じゃあ、ここでお別れだね。じゃーね」


そう言って、右方向へ歩く私。


すぐに追ってくるかと思ってたけど、追ってこない。


私、肩にかけていた鞄をまた肩にかけ直す。



< 34 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop