Kiss★恐怖症
「ちょっと待って!!」


急に肩を捕まれる。


が、私は冷静に、振り向く。


「…あのね。神谷くんは、逆でしょ?」


「俺も駅まで歩く」


「はあ―っ?」


そう言って、頭の上で手を組み、私の横を通り過ぎていく。


何言ってるの!?


帰り道と逆方向に歩くなんて…。


そこまでする必要なんてない。


私は駆け足で、神谷くんの横につく。


「ねえ、神谷くん」


「直樹」


「はい?」


「名前。下の名前で呼んで。俺だけ名字とかおかしくね?」


「…わかった」


「わかったなら、よし」


私に顔を向け、にこっと笑う。


…あ。


これは自然の笑顔だ…。


あ、あれ?


なんで、私こんなこと思ってるの?


あー狂うーっ!!



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