「好きになるはずなかったのに」




「あ―――!もう駄目だ!

私の人生もう終わりだし!」
 

魂が抜けれる寸前の声が、

一軒のこじんまりとしたワッフル屋に劈いた。



どうしたどうしたと、

周囲のお客は、店の一番奥の四人掛けテーブルを陣取っている一人の女にもれなく一瞥を投げた。黄緑の壁に、

疑似の子鳥が枝にとまっている何とも愛らしい内装は、ずれた眼鏡の彼女を嘲笑い、何より、彼女に似つかわしくない。



そんな彼女にハーブティーを出す、この内装にあった冬実というふっくらした女は、頭にミルクティー色のどでかいおだんごを載せている。



誰どう見ても、この萎(しお)れた女とは正反対のお洒落好きだ。

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