多重人格
がきんちょの私
とにかく姉さえいれば良いっておやじだった。おかんからはずっとおやじや姉に対する文句しか聞いた覚えが無い。私にとっての味方はおじいちゃんだけだった。一番心配して愛してくれた。家にいるのが怖くて何かあるとすぐにじいちゃん家に行った。私にとってのヒーローだった。
よく怪我をする子供でいつも傷だらけ…周りはそんな風に思っていたけど、本当は違う。
昨日と今日で同じ行動をしていてもおやじの機嫌次第で竹刀で殴られる。誰も守ってはくれない。でもたまに優しくしてくれるおかんを悲しませたくなくて、愛して欲しくてずっと耐えていた。
そのうちに気がつくと殴られた後という奇妙な状態になってきた。姉に殴られた時も同じ。
痛みを受け止める人格が初めて誕生した。
耳たぶをはさみで切られても、何も感じなくなっていた。
そして私の分裂はどんどん膨れ上がっていった。 じいちゃんが亡くなってから…
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