多重人格
東京
初めての一人暮らし。
解放された気持ちでいっぱい。
私は自由になれた。貧乏でもダンスや歌のレッスン、そしてバイトに毎日睡眠時間が2〜3時間だったけど楽しかった。
クラブのオープン直後に行って、人が少ないうちにダンスを練習して、友達が出来て、人が増えると仲間で飲んで…
充実して、必死に生きていた。
でもドラッグをやっていた私は辞めて振り返しがある事を痛感した。
とにかく辛い。
体が苦しい…
でももうしないと決めていたから、戦った。
周りにもドラッグ中毒で苦しんでる子は沢山いた。
皆、色んな背景がある。辛さからドラッグにはまる子が余りに多く、簡単に手に入いる事にも憤りを感じていた。
余りにひどい友達を、辞めさせる為に付きっきりで、家で押さえ付けていた事もある。
私の目の前で死んだ子もいた。
ドラッグを辞める事は言葉で現せれる程、簡単ではない。
始めるのは簡単だけど…
私はラッキーにも中毒までなってなかったから、大変でも辞めれた。

そんな中でかかって来た一本の電話。

おやじからだった。
「借金があるから金を送れ」
正直、送るつもりは毛頭無かった。
でも、おやじの一言で私の考えは一変した。
「お前が払わないと、おかんが苦しむ事になる。おかんを苦しめれるのか」
貧乏で食べる事も大変な中で、言われる度に少しづつおやじに送金した。

ある日、おかんからも
「お金を少し貸して欲しい」
と電話がきた。
「おやじに送ってるのに何でおかんまで…」
何かがまた崩れていった。
おやじからおかんも送金してることを知ってると
聞かされていたから。
電話の向こうでごめんねと泣いてるおかんに何も言えなかった。
後になって、おかんは送金してたことを知らなかったと解ったけど、その時はおかんもお金か…と愕然としていた
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