ゴスロリ彼女のキスの味


 ゼロは幹線道路沿いの通りから別れを告げ、左の路地に姿を消す。


「ゼロ!」

 車の往来が激しく、聞こえないことはわかっていたが、本当の名前で呼ばずにはいられない。


 通りから一歩奥に入ったところはわき道が多い閑静な住宅街で、似通ったデザインの真新しい家がひしめいていた。


 一車線の道路を照らす街路灯が、ポツリポツリと淡い光を落としている。


 ゼロの姿がなく、足音さえ聞こえてこない。


 とりあえず50メートルほど真っ直ぐ走り、信号のない四つ角を左右に首を振りながら確認する。

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