ゴスロリ彼女のキスの味


 ゴスロリ女は顔を両手で覆い、幼い女の子が大袈裟に泣くときのポーズをする。


 ガツン……。


 力なく倒れた日傘はアスファルトに重量感のある音をさせた。


 顔を覆ったままゴスロリ女は後ろを向き、駆け足でおれから離れていく。


 助かった?


 いや、見逃してくれたのか?


 おれは上半身を起こし、ゴスロリ女の後ろ姿が小さくなっていくのを見詰める。


 走る姿を見たかった。


 薄暗くてよくわからなかったが、ゼロの走り方に似ているような……。

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