ゴスロリ彼女のキスの味


 死ぬ寸前、過去が走馬灯のように蘇ると聞いたことがある。


 おれは……無人島で一人寂しく暮らす姿しか浮かんでこない。


 過去を振り返るには人生が短過ぎるのだろうか?


 諦めに近い感情が脳裏を駆け抜けると、一滴の水分がおれの頬を伝う。


 おれが流した涙じゃない。


 立て続けに二滴、三滴とおれの頬を濡らし、よく見ればアゲハ蝶のマスクの端からこぼれ落ちている。


 汗?……それとも涙?


 ゴスロリ女はカタカタカタと日傘を揺らし始めた。

 発作?

< 173 / 333 >

この作品をシェア

pagetop