Cygnus
連れて来られた先は

屋上だった


誰もいないそのスペースは
真冬なのに
太陽の光を浴びて


なんだか
とても温かく
空気は澄んで感じた



「…芳史…?」


さっきから掴まれたままの腕


私の声に
彼はゆっくり離した



「ごめん。
ここなら…二人でゆっくりできるでしょ?」


「うん。」


フェンスに背中を預けるようにして
並んで座った



「今日の差し入れは?」


あ!
そうだった…

抱きしめていた紙袋


そっと中から取り出して

箱を開けた
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