Cygnus
思わず噴き出すと

みんなも笑い
場が和んだ


「で…
芳史はいつまで
紗季ちゃんを抱きしめたままなんだ?」



河野さんの穏やかな声に
今の状況を思い出し


一気に羞恥心が芽生える


離れなきゃ…


っていうか
人前でこんな事…



離れようと
身をよじると


芳史の腕がさらにきつくしまった



「え?」


思わず見上げると

彼は
河野先輩をまっすぐ見据えていた


「文孝には関係ないでしょ。
行こう。」


そういって
腕を引かれるまま
私は部屋を出る



その時
一瞬だけ見た
河野先輩の表情が


とても
悲しげで…


なんだか
引っかかった
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