空の向こう側
「不思議なんだ。」
空を見上げながら、沙羅は言う。
「私は知らない筈なのに…あの場所も、この食べ物も、どこか懐かしい。」
病気による、記憶障害
避けられない現実
「だからきっと、私が全部忘れちゃっても、心や体が覚えててくれる。
そう思ったら、もう何も怖くないよ。」
沙羅が笑ってそう言うから、俺もつられて笑った。
コイツは人よりずっと強い
どんな事も、こうして乗り越えていってしまう
「夏…。」