傷だらけのヴィーナス



すると、間部主任は慌てたように答えてきた。

『そうそう、明日の午後から空いてる?映画でも行かない?』

「明日…ですか?」

私はカレンダーをちらりと見る。
特には予定はない。

「いいですけど……いいんですか?」

『何が?』

「―――休みの日に私といるところなんて、誰かに見られたら」

私がそこまで言うと、主任は私の言葉を遮るように話し出した。

『彼女と一緒にいてマズいことなんてないよ。別にうちの会社社内恋愛禁止じゃないんだし』

初めての肩書きに、私の心臓はまたうるさくなった。



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