きいろい青空【完】



「彼女がいるって本当なの?」


俺の顔を覗き込んで訊いてきた瞳。



「…ほんと」



小さく言葉を返す。



「なのに、花恋ちゃんが好きなの?」



「俺の好きな人は…つ、つ」



ベンチの前でふたりで固まってしまった。



風の音だけが聞こえてくる。



どうして言えないんだ!!



自分に腹が立つ。



「つばさ。」



下を向いて小声になってしまった。



どうして、堂々と名前を叫ぶことが出来ないんだろう…



わからない。



でも、自分の拳を強く握っている俺。



「じゃあ、追いかけちゃだめだよ?」



「うん。わかっている……」




俺は花恋を追いかけてはいけないんだ。



好きなんてつのってんじゃねーよ!!

俺…



花恋への気持ちなんて無くなればいいのに。





どんどん先へ行ってしまう花恋。


小さくなっていく花恋の背中に



「ごめんね…」



と、小さくつぶやいた。





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