きいろい青空【完】

花恋*



あ~あ。


すごい場面見ちゃったよ。



直輝が瞳に告白されていた。


うちは、空気を読んでふたりきりにさせたところだ。


ただ、なんとなくぶらぶら歩く。


でも、なんでこんなに


…むなしくなってるんだろ?




「あ…」


桜の木を見つけた。


5月の桜の木はきらきらと葉が緑色が輝いている。


桜を見ると思い出す…



あの約束を。



“20才になったら、大っっっきいお城でチューしよおね”




どんな約束だよ…

と、思いひとりでクスッと笑ってしまった。




『この約束覚えていますか』


と聞いたら


『覚えている』


と言ってもらいたい。



けど、もう答えは知っている。



直輝はこの約束を



覚えていないと…。






あーーあ。


ヒドイ奴だよ、直輝は。



桜の木の下に腰をおろした。


土が制服に付いたけど気にしない。



上を見上げたら、太陽の光が葉に反射してキラキラ輝いた。



昔もこんなキラキラの中で…




コツコツコツ----



足音が聞こえた。


誰か来たんだろうけど、この足音は直輝のものじゃない。



幼なじみって分かりすぎてる。

必要以上に直輝のこと…分かりきっているんだ。




ほら、やっぱり。



「花恋ちゃん。行きましょう」




後ろを振り向くと、瞳が立っている。


うぜぇ。


なんで瞳が来たんだよ?




「あっちで直輝くんも待っていますから」



座っているうちに手を差し伸べてきたけど、払って立ち上がる。



そして瞳に背を向けて歩き出した。



こんな奴、無視無視。





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