きいろい青空【完】



「でも、ふたりで入れたら12円になるじゃん?だからね、12で『ニコイチ』なわけ!だから、ふたりで入れたら両思いのおまじないになるんだよ?」




勝ち誇ったような意地悪な笑顔。


そんな顔をする直輝をいじりたくなって、ほっぺを両手でつねる。




「かれ〜ん、ひたひよぉ〜(花恋、痛いよ)」



「あははっ。変なカオっ!てか、うち知らなかったしぃー!!そんな裏のおまじない」



初めて知ったし…

そんなルール。



「颯さんから教わった」



なぜか、その言葉だけはきれいに聞き取れて。


手を離した。





「え!?颯がっ?」



このおまじないを教えてくれたのは颯だ。


なのに、そんな裏のルールは教えてくれなかった。



「だから、中2のときの花火大会で颯さんは、14円いれたんだよ。4コ1ってことでね」




「初めて知ったぁー!!!」




スゴイ。


中2の謎が今、解けたっ!




「でも、どーして颯は裏のルール、教えてくれなかったんだろう…?」



そう呟きながら、お賽銭箱の前にある石段に座る。


隣に直輝も座り込んだ。



「おまじないなんかに頼らなくても、俺と花恋はニコイチなんだって言ってたよ?」



「颯らしいね。ははっ」




颯は…うちにたくさんのものを残してくれたんだね。


この、今感じている気持ち。



心が温まるようなこの感じ。



これも颯からの送りもの…




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