きいろい青空【完】


つーちゃんにエールを送る。



でも、好きな人できたって報告ぐらいしてほしかったな…。




「おーい。花恋、帰ろおぜぇ」



あの声が聞こえ、後ろを振り返った。



教室の入り口に颯が立っている。



颯が迎えに来てくれた!



「うん!じゃあ、つーちゃんガンバ!!報告待ってる」




そう言いながら席を立ちカバンを背負った。



「うん。バイバーイ」



「バイバーイ」



小走りで颯のもとへ向かう。


颯と手を繋いで歩き始めたとたん、廊下にいた女子達がコソコソ言ってきた。





これが、いつもの事。


颯はかっこいいからね。


女子の皆様は、見ながらコソコソ言うんだよね。



てか、やば…


颯、今日もカッコ良すぎだし!!


見とれちゃう。



なのに…。


キスまだしていません……



はぁ~どうすんだぁ~?



「なんか最近、翼と仲いいじゃん」



「うん、意外と優しいんだよね。チャラいから、怖そうに見えるけどイイ人だよね」



「ふーーん」



「えっ、何その微妙な反応…?」



「なぁ、花恋。約束してくれる?」




いきなり、真剣な顔で言ってきた。



「なんの?」



「ずっと、俺のそばにいるって。どこにも行かねぇって」




「うん、約束する!!ぜったぁ…」



次の瞬間。



あぁぁぁぁぁ!!!


キスされたぁぁぁ!!!



いやぁ、やばいよ……



死んじゃうよ…




「ぜってぇ守れよ。約束」



「うん!」



え…なんで、そんな顔すんの?


なんで、そんな悲しい顔したの?


キスの後…





約束…


あぁ、昔のこと思い出しちゃった。



直輝との約束は守れないってこと。




だから、颯との約束はぜっっっったい守る!!!



ずーーーっとずっと、颯のそばにいる。





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