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 甘く、深く、くちづけて。

 僕は、舌でオリヱの口腔を犯しながら、彼女の白衣のボタンを外してゆく。

 全裸よりも淫らに服装を乱した手を、下着の隙間から差し入れて。

 だんだん火照ってくる、オリヱの素肌の胸のふくらみに直接触れたとき。

 僕は、この二人だけの特別な部屋に別な男が入って来るのを、見た。

 白衣を着た、背の高く、細身の男だ。

 何よりも顔の作りが整って見える、この男を僕は知ってる。

 九谷 真司(くたに しんじ)だった。

 オリヱの同僚で……本来の、恋人。

 けれども、僕の腕の中にいるオリヱは、扉を背にしていたので彼の突然の訪問に気がつかないようだったし。

 僕は既に欲望が勃ちきって、辛く。

 彼が開いたドアの前に立ち尽くして居るのを知った上で、オリヱへの愛撫を止めなかった。

 そんな僕らに、呆れたのか……腹を立てたのか。

 九谷は、開いているドアを、がんがんと叩いて声を出した。


「オリヱちゃん」


 その声は、思ったよりもカルく。

 でも、決して笑ってない響きがある。


「きゃ……真司っ!

 シックス・ナイン……っ!

 も……ダメ……やめて……!」


 オリヱは九谷に気がついて、初めて僕に抵抗を見せたけど。

 僕は、続きがしたかった。

 だって。

 この手を止めてしまったら。

 オリヱは、迷わず、九谷の元へ行ってしまうコトを知っていたから。





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