僕の色、君の色
咲人は子供を見るような目で優しくニッコリと笑う。
この表情をされた女の子は、完璧に咲人に惚れるんだろうなぁ。
実際に、咲人はモテる。
何より顔が格好いい。
僕とは違って男らしい整った顔立ちをしている。
僕は女の子に可愛いと言われてばかりで、一度も「好き」なんて言われることがなかった。
顔だって、まだまだ変わるはず。
僕が少しだけ遅いだけなんだ。

咲人と僕は夏休みの思い出話をしつつ、三階の教室へと歩いていた。
二階に着いた時だった。
「おっ、姉ちゃん」
「咲人……に春季君、おはよー!」
僕の心臓は飛び跳ねる。
元気に僕と咲人に挨拶をしたのは咲人のお姉ちゃん。
桃花先輩といって、いつも明るい。
そして…僕の初恋の相手でもある。

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