君の温もり
「ちょっと待ってろよ」
急にそう言った先輩にあたしは軽く頷き立ちあがって出て行く先輩の背後をずっと眺めてた。
消えて行ったのにも係わらずそのドアをずっと眺めていると、数分たった後、駆け足でこっちに来る先輩を目で捕らえる。
あたしの隣に来て腰を下ろした先輩は左手に握りしめていた何かをスッとあたしに差し出した。
「えっ?」
「やる」
そう言って差し出されたのは栄養ドリンク。
そのドリンクをジッと見つめていると先輩の右手があたしの右手に触れ、開いたその右の手の平に栄養ドリンクを握らされた。
「飲め。気休めかもしんねぇけど」
先輩はあたしから視線を離しポケットから取り出したタバコに目を向ける。
「いいんですか?」
「あぁ」
「ありがとうございます」
先輩はコクンと頷く。
遠慮なく受け取ったあたしは先輩に言われた通り栄養ドリンクを喉に流し込む。飲んでる途中でこの優しさは一体何なんだろって思ってしまった。
まぁ先輩からすると優しさなんかじゃないと思うけど。
そりゃ隣でゴホゴホされたら誰だって嫌だしな。
飲み終わった小さな瓶に蓋をし、あたしは隣に居る先輩に目を向ける。