君の温もり
「クシュッ…」
突然出たクシャミに鼻を擦る。
何だか頭がボーっとする。風邪の所為なのか曇った心の所為なのかは分かんない。
「風邪引いたのか?」
不意に聞こえた声に視線を向けるとそこにはいつ入って来たのかも分からない先輩がズボンのポケットに両手を突っ込んだままあたしを見下ろしてた。
「あっ…」
座っている位置から少しだけ身体を動かすと、いつもの右側に先輩は腰を下ろす。
「久しぶりです」
「あぁ」
「ずっと雨でしたね」
「だな」
この前の出来事が突然頭を遮ったあたしはそれを掻き消す様に先輩に話を持ちかける。
だけどそれ以上、話す言葉は何一つ見つからずあたしはだんだんと俯く。と同時にチクチク痛みだす喉からむせ返る様な咳が込み上げた。
「ゴホッ、ゴホッ、」
口元で手を抑えるあたしは俯いて咳き込む。
「大丈夫かよ」
「あ、はい。大丈夫です。すみません」
「いやいや大丈夫そうには見えねぇけど」
咳が治まったあたしは隣に居る先輩を見て、「大丈夫ですから」と言って小さく微笑んだ。