君の温もり
「ちょ、えぇっ!!先輩、それって借りたんじゃなくてパクってるんじゃないんですか?」
目を見開いたまま張り上げた声を出すあたしに先輩は眉をグッと寄せる。
「パクってねぇよ。借りたんだよ」
「誰のをですか?」
「さぁ、誰のか知んねぇけど」
「ほら、それパクったって言うんですよ?」
「言わねぇよ」
「でも相手、傘ないと困っちゃいますよ?」
「困んねぇだろ。まだあんなに傘あんだからよ。つか、もうほとんど帰ってるしあまりの傘だろ。困ったら困ったでそいつもどうにかすんだろ」
「そう言う問題ですかね…」
「そう言う問題。また返しときゃ問題ねぇだろ」
「ま、そうですけど…」
でも、先輩返しそうには見えないですよ?なんて思っていても言えなかった。
「で、アンタは帰んねぇの?」
「いえ、帰ります」
「何処まで?」
「とりあえず駅まで」
「行くぞ」
あたしの頭上にあった傘がゆっくりと前に進みだす。