君の温もり
右手をポケットに突っ込んだまま気だるそうに歩いて行く先輩をあたしは暫く見つめてた。
一つの傘で先輩と歩く事にあたしは少し躊躇った。
先輩と歩く事は夢のようで嬉しいはずなのに何故かそれが罪悪感に思える。駅までの道のりはこの前、先輩と女の人を見たファーストフードの前を通る。
もしかしたら、もしかしたらあの女の人とハチ会わしたらどうしていいのか分かんなかった。なんて言い訳をしたらいいのか分かんなかった。
先輩はそお言う事は何も考えてないんだろうか。
もしも彼女とハチ合わせになったら…なんて事は考えないんだろうか。
そう思って見つめている時だった。
数歩歩いていた先輩が後ろを振り返りあたしを見つめる。まるで、何でこねぇんだよって言う目つきであたしを見てる。
「来ねぇの?」
案の定、先輩から出た言葉は思っていた通りの言葉。
先輩が差している傘にバチバチと雨が弾けて行く。
「あ、えっと…」
未だに躊躇うあたしに先輩は面倒くさいって感じのため息を吐き出す。
「そこに居ても当分雨止まねぇぞ」
分かってる。分かってますって言いたいくらいだ。
先輩を待たせる顔がだんだんと曇っていく。まるで早くしろよって訴えてるかのようにあたしを見てるから、
「見られちゃマズイと思いまして…」
小さくあたしはブツブツと声を出した。