君の温もり
「は?」
先輩は意味が分からないかの様に顔を顰めたまま数歩離れてるあたしを見る。
「いや、だから見られちゃ…」
「誰に?」
「誰って、その…彼女に」
「誰の?」
「だ、誰のって…そんなの先輩の彼女に決まってるじゃないですか」
「は?俺の?」
「はい」
「つか俺、アンタに居るって言ったか?」
「言え、聞いてはないですが…」
「なら勝手に決めんな。居ねぇよ、女なんか」
“置いて行くぞ”
そう付け加えられた言葉とともに先輩の足がまた進み出し、気づけばあたしの足も勝手に先輩へと向かってた。
先輩の差された傘に入り込むと先輩はあたしが濡れない様にと傘を深く差してくれる。だけど先輩の右肩が濡れている事に気づき、あたしは先輩が差している傘をグッと先輩寄りに押す。
そんなあたしに先輩は何だ?って表情であたしを見つめ、
「濡れんぞ」
そう言ってもう一度、あたしに深く傘を差す。