君の温もり
「先輩こそ濡れてます」
「俺は別にいい」
「風邪引きますよ?」
「馬鹿だから引かねぇんじゃね」
何気なくそう言った先輩にあたしは思わずクスクス笑みを漏らす。そんなあたしに先輩は、「笑うな」そう告げて口元を緩ませる。
やっぱしあたしと先輩の間には沈黙と言うのが付きもので、お互い何も話さないまま足を進ませてた。
そんな暫くの間、静けさが増しあたしの耳に入るのは空から降ってくる雨が傘の上で軽快に弾けている音だけだった。
見上げる視界の端には先輩が映る。
ふと思った。身長何センチだろう。見上げる先輩は高くてほのかに香水の香りが漂ってた。
あたしが160だから先輩はそれより15センチは上なのは確かだと思う。と、そんなどうでもいいような事をあたしは考えてた。
今こうして先輩と居るのがまるで夢みたいで思わずあたしは自分の頬を抓ってみる。
「痛い」
心の叫びが思わず口から出た言葉に先輩は視線を落とす。
「どした?」
「あ、いえ、なんでもないです」
何やってんだと思う自分。