君の温もり

「つか、何?」


案の定、彼からそんな言葉が飛んで来たのは暫く経ってからだった。あたしが見てたのに気づいた彼は面倒くさそうに息を吐き捨てあたしをチラッと見る。


「あ、いえ…」


そう言うしかないあたしは小さく呟き視線を遠くへと送る。


「初めて見る顔」


暫くしてパチンと携帯を閉じる音とともに聞こえてきたのは彼の低い声だった。


「え?」


思わずあたしは彼にへと視線を送る。


「だからアンタ初めて見る顔。いつも来てんの?」

「まぁ…大概は」

「ふーん…」

「あの、よく来られるんですか?」

「あぁ。っつっても殆ど授業中だけどな」

「なら会わないですね」


そう言ったあたしは小さく笑みを漏らした。


「だな。アンタ1年?」

「あ、はい。先輩ですよね?」


見るからにあたしより年上って感じの彼にそう告げると彼は、「3年」とだけ答えてくれた。と、同時に始まるチャイムが辺りを響かせ、あたしはスッと腰を上げる。

だけど先輩は行くそぶりも見せずにベンチに仰向けになって寝転んだ。



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