空に手が届きそうだ
ポケットに入れた携帯で時間を確認しながら、急いで階段を降りる。
「ごめん風花。」
階段を降りてすぐの所に、さっき電話した望月風花がコンクリートの壁に持たれて立って居た。
五月蝿くない、制服姿。
「待った?」
「ううん。今来た所。」
風花は、ブレザーのポケットからiPodを取り出して音楽を止めながらイヤホンを外して、一緒に歩く。
「朝っぱらからごめんね。」
「いいけど、いつも急には辞めてほしいなぁ。」
「ごめんってば……。」
「まぁ、別にいいけど」
少し、呆れたように優が言うと風花は申し訳なさそうにコンテストが近いから……と、言った。
「別にいいよ。いつもの事だし」
ごめんと言って、風花は、申し訳なさそうにしゅんとする。
その姿を見て、優はクスリと笑った。
「風花もそういう顔するんだね。」
「えっ!?どういう意味よ~」
二人で笑い合えるこの瞬間が、優は好きだった。
「それより、深さんとすれ違ったけど」
小さく頷くと、やっぱりねと風花が言う。
「そろそろ、辞めたら?」
「そうしたいけどね。こればっかりは、さ……。」
「無理しちゃダメだよ。」