空に手が届きそうだ
見慣れた路上の間で、朝日を仰ぐ風花の姿。
朝、撮っていた時に見せた風花のプロ意識がまじまじと伝わってくる。
「すげーな。」
「うん。良子、良かったね。」
幸せそうに携帯を見る優は、優しい顔をしていた。
「行くか、歩きに。」
「うん。」
返事をしながら、風花のメールを見た。
その間に深は、戸締まりをする。
報告、から始まる文章には明日の事が書かれていた。
(あっ……。)
「どした?泣きそうな顔して」
「風花と、会えないから……。」
「仕事か」
「みたい。急に、呼び出されたんだって」
「1日会えないだけで、そんな顔するなっての。」
「うん……。」
引っ越すから、とは言えなかった。
「行こうか。」
「うん。」
携帯を、ブレザーに入れて深と共に玄関へ行く。
「手ぶらでいい?」
「うん。欲しい物も無いしいいよ。」
靴を履いて、外に出ようとして自分の服装を見る。
「制服じゃない方がいいよね。」
「それもそうだな。」
急いで、ローファーを脱ぐと部屋の左側にあるタンスを開けた。
「急がなくていいからな~。」
「わかった。」
深の服に混じって置いて置いた、自分の服を引っ張り出す。
(らくちんで、いっか。)
急いで、着替えた。
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