守って☆タイガー
帰る場所…か、
そうだ、忘れてた…
「……ねぇよ」
俺は小さく呟いて答えた
実は俺にはある理由があって帰る場所がない状態…
理由なんて言いたくもないが…
きっと他人が見たら今の俺はぶっきらぼうに見えるんだろうな
何て思っていると…
「じゃあ、ここに住めば良いよ!」
「はっ、はぁ!?」
女はまたしても満面の笑顔でとんでもないことを言い出した
「ちょっと待てよ!ここに住めば良いって無理だろ!」
「何で無理なの?泉水もここに住み込みで仕事してるし、トラも住んだって良いでしょ?」
「まっ、まぁ、そうかもしれないけど…」
小動物のようにキョトンとした瞳で俺を見る女に、何だか目を合わせづらくて視線をずらしながら口ごもる
この女…何考えてんだよ…
今日会ったばかりの見ず知らずの不良に、一緒に住めば良いだなんて…意味わかってんのか!?
金持ちだから金目のものを盗まれるかもしれないし、命だって狙われるかもしれない
なのに一切人を疑おうとしないなんて…非常識にも程がある!
「お前さ、ちょっとは人を疑えよ…」
「えっ?」
「俺がお前を殺して金を盗むかもしれないぜ」
女を氷らせてしまいそうなくらいの冷たい視線を突き刺す
もちろん本気でそんなことをするわけない
だけど人を全く疑わないっていうのは危ない
ましてや日本を代表する大財閥の娘
少しは人を疑うということを知った方が良い
「トラはそんなことしないよ」
「なっ!そんなのわからないじゃねぇか!」
それでも女は俺を疑うどころか優しく笑って俺を真っ直ぐと見つめた
「トラの瞳を見ていればわかるよ。トラは優しい人だってことがね」
「やっ、優しい人って…」
何だよ、優しい人って…この女まるっきりわかってねぇ…
あぁー、負けた!
