天国からのメール
後ろの方の椅子に腰をかけた聡は、軽く腕を組んで見物する。


パンクパンサー、同じ関東大会から進出してきたバンドだ。


ギターのフレーズから始まる曲。


そこにドラム、ベースが乗り、ボーカルが入る。


バンド名とは裏腹に鮮やかな曲調、なかなかのグルーヴ。演奏力も、ほぼプロレベルだ。


「なかなかやるな、さすが全国大会だ」


一人そう呟く聡。


リハーサルが終わると、先ほどの黒服のスタッフが同じことを説明しているのが見える。


そして、次のバンドがリハーサルの準備にかかる。


「それではILAST ROCK様、曲を始めてください」


またしても関東大会進出バンドだ。


関東大会をトップで制したバンド、綾がなかなかだって言っていたバンド……ILAST ROCK。


「さて、実力はどんなもんか……」


そう呟く聡。


ドラムのスティックカウントから、曲が始まった。


その瞬間、聡の全身に湧き出る鳥肌。


「なんだよ、これ……」


決して、とてつもなく上手いわけではない。むしろ、下手なくらいだ。


でも、すごいパワーと音圧。


そしてなにより、リハーサルだというのにメンバーの表情がすごい。


曲に対しての想いがビンビン伝わってくる。


『伝えたい!』という心が、明確に、まるで直接心臓に話しかけられているかのように伝わってくる。


「すげぇ、こいつら……」


年は、多分十六歳くらいだろう。


純粋でストレートな曲調に、感動すら覚えた。
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