白銀の女神 紅の王
「ここは城下でも一番の市場通りだからな」
横に並ぶデュークが自慢げにそう言う。
一番大きい市場と言うのも納得いく。
周囲を見れば、食料、衣服、調度品から武器まで、必要なものは全てここで揃いそうなほど、種類に富んでいた。
それをキラキラとした目で見ていると、デュークがククッと笑う。
「見たいものがあったら存分に見ると良い」
はしゃいでいた自分に少し恥ずかしく思うも、この胸の高鳴りを止める事は出来ない。
何しろ10年ぶりに人の行き来する白昼の下に出たのだ。
全身にベールを巻いているから少し人の視線を感じるが、気になる程ではない。
それに今日は一人じゃない。
デュークやニーナ達侍女もいる。
そのことが私を安心させていた。
「エレナ様!宝石店ですわ!」
大通りを歩いていると、一人の侍女が興奮したように声を上げる。
その侍女に連れられる様にして行ったのは、色とりどりの宝石が並ぶ店だった。