白銀の女神 紅の王
けれどニーナ。
私の答えなんて決まっているの。
「私には選ぶ権利などないから…」
シルバが能力を使えと言ったら使う。
何も言わなければ使わない。
ただそれだけの事。
私はそう…シルバの持ち駒の一つにすぎないのだから。
「エレナ様……」
ニーナの顔が悲しそうに歪む。
「シルバ様は言葉には出されませんけど、きっとエレナ様に感謝しているはずです」
「けれど私は避けられているわ……」
自分でも落ち込んでいるのが分かる…
俯いているとニーナの明るく振る舞おうとする声が降ってくる。
「今はイースト地区の再建でお忙しいからですわ」
「そう…かしら……」
だってこの後宮に来てから一度もシルバはこの部屋に寄りつかない。
ただの一度も……