白銀の女神 紅の王
バンッ―――――
荒々しく、エントランスへ続く重い扉を開ける。
すると、いつもは穏やかなはずの城内が、やけに煩く感じた。
「今日はやけに騒々しいな。」
使用人たちがバタバタと走りまわっているのを目にとめたデュークが呟く。
「宴でもあるのか?」
「いいえ、今日は何もないはずです。」
ウィルが訝しげな声で呟く。
不意に、訳の分からない不安が襲った。
何か……嫌な予感がする――――
「シルバ!?」
ウィルの呼びとめにも応えず、気付いた時には、足が後宮へ向かっていた。
フード付きのマントの重みすら煩わしく、剥ぎ取って足早に歩いていると―――
「陛下!」
後宮に繋がる廊下の向いから走ってきた護衛が声を上げる。
その表情は、自分を捉えた瞬間、あわあわと青ざめ、色を失くしていった。
「何だ、この騒ぎは。何があった。」
手短に言えば、思いのほか低く唸った声。
それを聞いた護衛は体を震わせ、恐れ慄いている。