白銀の女神 紅の王
「あ、あの………。」
口をパクパクさせ、出てくるのはこの言葉にならない言葉だけ。
俺には知られたくない事ということか……
その態度に、益々苛立ちが募る。
「あ…「早く言え!」
一喝するように声を荒げれば、ピンッと直立するように体を固める護衛。
「は、はい!エ、エレナ様が王城のどこにも見当たらないのです。」
「チッ…………。」
聞くと同時に、来る怒号に耐える様に目をつむる護衛の横をすり抜け、走り出した。
エレナが見当たらないだと?
アレは、ここにいるしかないのだ。
王城にいないはずがない。
そう思いながらも、拭えない不安を抱えたまま、後宮へ向かう足は早まる。
バンッ―――――
後宮の扉を、壊れそうな程に荒々しく開く。
昨夜と同じく、閉め切られたカーテン。
天窓から差し込む月明かりだけが包む後宮。
シャッ―――――
部屋の奥まで行き、あらん限りの力でカーテンを開く。