白銀の女神 紅の王



「シルバ様……。すみませんでした!」

「………。」

ニーナが、頭を下げたまま、謝罪を述べる。




「私がエレナ様についていなかったばっかりに……こんなことに……。」

自分を責めるように、そう言うニーナ。

ニーナが言わんとすることは分かるが…



「気にするな。あれは、この事態を予測できなかった俺の失態だ。」

ニーナの仕事は、エレナの身の回りの世話。

エレナを守ることではない。

だから、エレナが攫われたのは護衛の責任であり、俺の責任だ。




「エレナは必ず連れて帰る。」

「お願いします……。」

この言葉にほっと安堵したニーナが、やっと笑顔を見せる。



「なら、もう休め。」

ニーナの横を通り過ぎ、後宮へ入ろうとした時。


「あっ!待ってください。お渡ししなければいけないものがあるんです!」

慌てて差し出したのは、薄っぺらい封筒。



「これは?」

「イザベラ様が持っていたものです。護衛に捕まった時にこれを持っていたので、多分、これを回収にお戻りになったのではないかと。」


あの女がこんなものを……?


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