白銀の女神 紅の王



「ッ…………。」

息の根求めてやりたい程の男と、国王としての責務。

比べるまでもない二つを天秤にかける。


体と心は、この男の息の根を止めてやりたいと欲するが。

デュークの言葉が、それにストッパーをかけるように、俺の体を動かさない。



そして……―――

剣を構えたまま、フォレストを無言で睨みんだ後…



「クソッ…!」

ガツッ―――――

振り上げていた剣を、地面に振り下ろした。

目の前に振り下ろされた剣に、フォレストとロメオはヒッ…と小さく悲鳴を上げた後、腰が抜けるように後ろへ倒れる。



結局、国王としての理性が勝った。

しかし、一向に消えない憤り。




地面に突き立てることでやり過ごしていれば…

ふと、視界に映るあるモノ。

地面に転がる、何の変哲もないただの壺の様な入れ物。

ロメオの横に転がっていることから、奴の所有物である事は確かだ。




このような状況でなければ、それも気にならなかった。



しかし、何か嫌な予感がした………

ロメオの衣服から零れ落ちたそれから、目が離せない。




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