白銀の女神 紅の王



そして――――


「ッ…………!」

頭をよぎった不穏な考えに、息を飲む。



「まさか……ッ。」

ドクッと心臓が嫌な音を立てて鳴る。

あんなにも怒りで我を忘れていたと言うのに、今は冷水を浴びせられたように言葉が出ない。



ロメオの横に転がっているソレに、スッと手を伸ばせば…

ヒッと小さな悲鳴を上げ、体を震わせるロメオを無視して、僅かに震える手で壺を拾い上げる。

ふわりと香ってきた匂いが届いた瞬間――



「クソッ………!」

苛立ちが悪態となって出る。

嫌な予感は、見事に当たった。

壺を拾い上げた時に香った匂い。




それは、毒の匂いだった――――




「貴様ッ…これをあの矢に仕込んだな?」

射殺さんばかりの視線で、ロメオを睨む。



エレナのあの状態。

矢が背中に突き刺さったにも関わらず、痛がりもせずに苦しい表情を浮かべ…

動悸が激しく、吐く息が熱を持っていた。



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