白銀の女神 紅の王
「こうしていると、ただ眠っているようだな…」
そう言って、柔らかなベッドに体を沈めるエレナを見る。
銀色の髪をベッドに散らばせ。
規則正しい呼吸を繰り返すエレナ。
その姿は、本当にたた一頻りの間の眠りについているだけの様に見え…
今にも目を開き、起きるのではないかと思わせる程、安らかな眠りだった。
けれど……
エレナは、深い眠りについたまま、一度も目を開く事はない。
もう、体から毒は抜け切ったと言うのに……
「クソッ……何故だ……」
思わず悪態となって苛立ちを口にする。
この一週間、エレナが目を覚まさない焦燥感から、俺は仕事に没頭した。
それこそ、忙しさで紛らわす様に…
だが、こうしていつも帰る場所は、後宮であり、エレナの所だ。
昼間は忙しさで気持ちがまぎれても、こうしてここに帰って来る度に、頭はエレナの事で占められる。
そして、後悔する。
今までの自分の愚かさを……